2019年リリース、 Deliver Us The Moonをプレイした際の雑感です。
Steam版です。
ストーリー上のネタバレは避けるようにしていますが、気にされる方はご注意ください。
概要
資源問題に対して人類は月に解決策を見出した。月面で核融合の燃料になり得るヘリウム同位体(Helium-3)を含んだ岩石を大量に採掘することに成功したのだ。
西暦2032年、月面で得たHelium-3による核融合エネルギーをマイクロ波に乗せて地球へと転送する無線電力伝送ネットワークが完成する。これによって、地球上での数十年分のエネルギー供給が可能となり、再び地球に安寧がもたらされた。
西暦2054年、月面から供給されていたマイクロ波が突如停止し、地球への電力伝送が完全に遮断される。すでに地球上には月に向かうだけの資源は残されておらず、電力を復旧する手立てはない。原因を究明することも叶わず月面の施設は放棄されることとなった。
西暦2059年、あの大停電から5年後。地球上の陸地の30%が砂漠と化し、人類は存続の危機に瀕していた。この絶望的な状況を脱するべく、人類は再び月に望みを託す。あの日、電力供給システムがダウンした月面の施設を復旧させるため、WPA(World Space Agency)の宇宙飛行士が単身で月へと飛び立とうとしていた。
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少し長くなってしまったが、以上が本作のオープニングムービーで語られる導入の要約である。導入の通り、本作はSFスリラー調のストーリーを主軸とした謎解きゲームである。謎解きといってもガイドに沿って仕掛けを解いて先へ進んでいくタイプのパズルアクションで、難易度もカジュアルだ。ステージの各所に音声アーカイブや資料が配置されており、過去に月面で何が起きていたのかを追体験していく映画のような展開が楽しめる。
ゲーム開始時点ではプレイヤーは何も知らない状態で月へ向かうことになるが、残された記録を読み解いていくことで5年前の大停電の真相と、裏で起きた事件の全貌が明らかになる。主人公は何を思い、たったひとりで月へと向かったのだろうか、その答えも得られることだろう。
Geforce RTX Ray Tracing対応
本作の魅力はストーリーだけではない。光の描写が凄まじく綺麗なのだ。
Steam版ではDX12のRay Tracingに対応しており、ガラスの反射や電灯の描画がよりリアルに近い表現となっている。
Ray Tracingの比較動画の通り、光の反射がきめ細やかに描画されていることが分かる。些細な違いかと思うかもしれないが、フルディスプレイで実際にプレイしてみるとちょっと感動した。ガラスの反射面に実際に光っているあらゆる物体がクッキリと映りこんで見えるんです。きらきらしてきれい。
2059年9月16日
場所はカザフスタン、アティラウ砂漠。この地には5年前まで月から照射されていた膨大なエネルギーを受け止める巨大アンテナが放置されている。マイクロ波伝送が途絶えた今はその役目を果たせず、ただ砂まみれの空を仰いでいる。
К звездам! (To the stars Google翻訳より)
左の金属構造体は世界で初めて打ち上げられた人工衛星、スプートニク1号だろうか。今調べて初めて知ったのだが、スプートニク(Спутник)は衛星という意味のロシア語らしい。なるほどー。
ここにはWPAの宇宙基地があり、主人公が乗るロケットは既に発射台にセット完了している。液体燃料タンクへの水素注入が完了し、パイロットの搭乗を待つのみとなった。当機は第1段に液体水素を燃料とする4発のロケットブースターを備え、宇宙空間への到達後に分離する。その後第2段液体ロケットエンジンに点火して月の周回軌道をめがけて加速する。
ロケットに搭乗にしたら、いよいよ地上を離れる瞬間を待つ。
ここからの操作はこのゲームで1,2を争うチャームポイント、発射シーケンスである。
マニュアルに従ってスイッチやレバーを操作して発射準備を進めていく。
スイッチをパチパチ弾くのがとても癒される。好き。
リフトオーフ!
月面軌道エレベータ
ロケットは自動制御で月へと到達し、軌道エレベータ上にある宇宙ステーションにドッキングする。
月面からの宇宙ステーションへの電力供給も止まっているので、発電ユニットを起動して月面に降りるための軌道エレベータの電力を復旧させる。
この起動エレベータは、地球へ電力を送信するトランスミッタにもなっている。
エレベータを降りると、そこは月面だった。
月面コロニー
月に到着すると、一気に探索範囲が広がる。乗り物にも乗れる。
コロニーには月面で働く人たちの居住区や整備区画、研究棟など様々な設備があり、事故前後の人々の様子が克明に記録されている。
各所にある拠点や電力供給施設を辿って、事故の調査と復旧を進めていく。
復旧の手がかりを求めて、電力供給の大元である核融合炉へと到達する。
ここまでの調査で5年前の事件の様子が薄々分かってきており、物語も佳境となる。
地球上に住む人々のため、そして主人公は自らの役目を果たすために、燃料を運び出して核融合炉を起動する。
果たして地球に電力を届けることができるのか、というところで紹介を終わろうと思う。
プレイしてみて
光が綺麗、という感想が一番に出てくる。Ray Tracingの威力に驚いた。施設や構造物などのメカ系のデザインが武骨で格好よく、そこで点灯するLEDがレイトレで更に綺麗という、レイトレの良さを引き出すために色々考えてデザインしたのだろうな、という印象を受けた。結果、光の表現が抜群に綺麗だった。
ゲーム性についてはこれといって印象的なものはなかった。謎解きや探索自体は結構単調なのでダレるかなーと思いながら休み休みプレイしてた。ゲーム自体がそこまで長くないので最後まで飽きずにプレイできたが、もう少しボリュームがあったら多分飽きていたと思う。そういう意味ではいいボリューム感だった。
そういったゲーム性もあり、本作のメインはシナリオパートにあると感じた。SFシナリオとしても魅力的で、一体何が起きたのだろうと、ワクワクしながら読み進めることができた。
冒頭のシナリオ導入で面白そうと思った方、ロケットの打ち上げシーケンスが好きな方、月面で浮遊感を得たいみなさまにおすすめです。月面歩行はテンション上がります。
プレイデータ:
クリアまで3日、プレイ時間は6時間 トロコンは未達成