NieR Automata 起動シーケンスの考察

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ゲーム

本日、2021年2月23日はニーアオートマタ発売4周年ということで、久しぶりにPS4を起動して遊んでいた。

プレイ当初はあまり気にしていなかったのだが、ロード画面の起動シーケンスが一体何を指しているのか気になったので調べてみることにした。

【!】ニーアシリーズのネタバレが含まれています。未クリアの方はご注意ください。

本文中で参照している主な一次ソースは以下のように略称する。

  • 本編(ゲーム NieR: Automata)

  • 設定資料集(ニーア オートマタ 攻略設定資料集<<第243次効果作戦指令書>>)

  • 美術記録集(ニーア オートマタ 美術記録集<<廃墟都市調査報告書>>)

BOOTING SYSTEM

アクセスポイントによる転送や、バックアップから記憶データの復元など、離れた場所で義体を起動する際にこのロード画面が表示される。
新たな義体にヨルハ機体のパーソナリティデータをインストールして起動するブートシーケンスということだろう。

以下に日本語と英語のステータスを示す。

LOADING – システム起動中… (LOADING – BOOTING SYSTEM…)
システムチェック開始 (Commencing System Check)
メモリーユニットチェック: グリーン (Memory Unit: Green)
戦術ログ: 初期化 (initializing Tactics Log)
地形データ: ロード開始 (Loading Geographic Data)
バイタルチェック: グリーン (Vitals: Green)
MP残量チェック: 100% (Remaining MP: 100%)
ブラックボックス温度: 適正 (Black Box Temperature: Normal)
ブラックボックス内圧力正常 (Black Box Internal Pressure: Normal)
IFF起動 (Activating IFF)
FCS起動 (Activating FCS)
ポッド通信接続開始 (Initializing Pod Connection)
DBUセットアップ (Launching DBU Setup)
慣性制御システム起動 (Activating Inertia Control System)
環境センサー起動 (Activating Enviromental Sensors)
装備認証: 完了 (Equipment Authemtication: Complete)
装備状態チェック: クリア (Equipment Status: Green)
システム: オールグリーン (All Systems Greeen)
戦闘準備完了_ (Combat Preparations Complete_)

この中で気になった項目をピックアップして、どのような意味を持つか考察してみる。
極力、ソースのある情報と推測を分けて書いているが、一部曖昧な情報を含んでいる可能性がある。ご了承いただきたい。

戦術ログの初期化

推測:
「戦術ログ」が何を意味するか不明だが、戦術的に意味のある(戦闘に関連する)情報の処理がここから開始されることを意味する。
逆に言うと、戦術ログ初期化以前の処理は、作戦行動に関連しない汎用的なアンドロイドの起動プロセスであると推測できる。

地形データのロード開始

考察:
バイタルチェックやブラックボックスの状態確認(機体を正常に動かすことができるかの判断)よりも先行して実施されている。

推測:
当処理が優先される理由として、大容量と思われる地形データのロードに時間がかかるためであると推測する。
大容量データを読み取る際は他の処理と並列で走らせることがあり、ブートシーケンス完了までに地形データのロードを完了させるために早期に実行されているのではないか。

MP残量チェック

資料参照:
本編内でMPというゲームシステムは登場しないが、Automataの世界においても魔素(Magical Elements)は存在している。
魔素の説明はAutomataの本筋から逸れるため省くが、ヨルハ機体の使用するスキルは魔素を転用した技術である(設定資料集 p286 Q38 魔素に関する質問)。
また飛行ユニットHo229はアンドロイド(ヨルハ機体)によるMP制御を必要としており、飛行ユニットの武装のひとつであるビームミサイルはMP粒子ビーム(または単にMPビーム)による攻撃と説明されている(美術記録集 p168 飛行ユニット詳細)。

ポッドの射撃も魔素によるエネルギーではないだろうか。

推測:
MPが何の略称であるかは不明だが、魔素によって得たエネルギーを使用した何かであろうと推測する(素直にMagic Powerじゃないかと思う)。
起動シーケンスでMP残量をチェックすることから、MPの残量は機体の状態によって変化することが分かる。

なおNierの世界における魔法は、魔素を通じて搾取した多次元世界からエネルギーを利用する技術とされる(設定資料集 p278)。

ブラックボックス温度、圧力

資料参照:
ブラックボックスはヨルハ機体の動力炉であり、融合炉である(本編より)。

推測:
ブラックボックスの機構について本編で明確な説明はなかったが、「融合炉」という単語や、「ブラックボックス反応」によるエネルギー放出を見るに、現代における核融合炉に近い存在であると推測する。
核融合炉は内部を超高温、真空状態にする必要があるらしい。現代の技術と同じ原理で動いているかは疑問だが、これだけ小型化された融合炉であれば異常な温度や圧力が発生した場合、機体に致命的な影響を与えることになる。
なお、ブラックボックスの状態はエリア移動のロード画面(システムスチェックバージョンの黒い画面)でもモニタリングされている。

IFF起動

資料参照:
ヨルハ機体の識別に使用される。
第243次降下作戦において、Ho229で自動航行中の2B含むヨルハ部隊はIFF: MODE 2による識別を実施している(本編 chapter 1)。
Ho229装備のIFFアンテナはUHFを用いている(美術記録集 p168)。
 

補足:
現代において、IFFは敵味方識別装置 (Identification Friend or Foe)という装置として実在する。
ここでは、用語の混在を避けるため現代におけるIFFについてのみ記載する。
IFFは軍事行動をする航空機や艦船が同士討ちを防ぐために識別信号を発信し、レーダー上の機体が友軍か、それ以外かを判別可能にする仕組みである。
現代におけるIFFは用途に応じて異なる動作モードが使用される。
本編で使用されているモード2は軍事用途で機体識別番号または部隊番号を通知する。
前述したUHFについて、IFFは無線信号によってやりとりされるが、IFFに限らず軍用機の航空無線は主としてUHF (極超短波 Ultra High Frequency)の周波数帯を用いる。ちなみに用途はまったく異なるが、身近にあるWi-FiもUHFである。

FCS起動

資料参照:
FCSは攻撃管理システム(Field Control System)の略称で、ヨルハ機体にはFFCS、NFCSが存在する(本編より)。
FFCS、NFCSは独立した回路として動作するシステムとして描写されている。

  • NFCS(Near-field Control System, 近距離攻撃管理システム)

NFCSに異常が発生すると、近接武器による近接攻撃の実行がエラーとなる。

  • FFCS(Far-field Control System, 遠距離攻撃管理システム)

FFCSに異常が発生すると、ポッドによる射撃攻撃の実行がエラーとなる。

(本編 Chaper15より、NFCSの破損描写。この後、デボルによって9SのNFCSは修復される。)

補足:
軍事用語として、現代にもFCS(Fire Control System, 火器管制システム、射撃統制システムとも)というシステムが実在する。
火器による攻撃において、攻撃目標の探知、識別、追尾、射線修正、射撃までのプロセスの一部またはすべてを自動化するシステムを指す。

ポッド通信接続開始

推測:
通信方式は不明。
西暦7645年当時、戦闘時のアンドロイド間の通信は音声や電波無線信号でなく光無線通信(レーザー光など)によるコミュニケーションが取られていたのではないかと、戦闘を観察したP33によって推測されている(NieR: Automata 短イ話 プロメテウスの火より、作中登場人物による推定情報)。
敵による通信の傍受や電波発信源の特定を避けるため、またジャミングによる干渉を避けるため、ポッド通信においても光無線通信が用いられているのではないかと推測する。

DBUセットアップ

推測:
該当する情報を発見できず、一切不明。
考察掲示板では、Data Broadcasting UnitまたはData Backup Unitの略称ではないかという意見があった。ヨナもそうおもう。

(該当投稿ではWorld Guide(設定資料集/美術記録集)にそのような記載があったような記憶がある、と書かれていたが、見つけられなかった。どこかに書いてあるかもしれない。)

慣性制御システム起動

推測:
該当する情報を発見できず、一切不明。
英語表記ではInertia Control Systemとあり、慣性の情報を使って何かを制御する、というよりは慣性そのものを制御するシステムと読める。
駆動系の制御システムではないかと推測する。

環境センサー起動

資料参照:
環境センサはアンドロイドの皮膚表面に配置されている(美術記録集 p168)。

推測:
ヨルハ機体周囲の情報を収集するセンサ、特に人間の皮膚表面で得られる感覚(触覚、温度、湿度)と同等の情報を得るセンサを指しているのではないかと推測する。

以上、何も分からない項目もあれば、公式ソースを調べてみたら分かったこともあった。ゲームプレイ時には知らなかったことを再発見できてオートマタの面白さを4年経った今、改めて実感した。
美術記録集にあるHo229の設定資料、今回調べるまでじっくり読んだことがなかったのだが、機体の各種センサからアンテナ、推進部、操縦翼面までびっしり設定が書かれていて最高だったのでぜひ読んでみてね。

おまけ

OPの工場廃墟突入場面にて、2Bが墜落したHo229からスタイリッシュに脱出するシーンのポッドによるモニタリング報告にも気になるワードがあったので見ていこう。
瞬間的に出力されたログを早口で教えてくれるポッド好き。

Ho229装備大破 (Alert: Heavy damage to Ho229 flight unit.)
操縦系放棄 (Flight-control systems abandoned.)
通常通信システムダウン (Standard comm systems down.)
レーザー通信システム起動 (Laser comm system activated.)
地形把握・・・・・・遠距離 (Confirming terrain…long range.)
FCS移管 (Transferring FCS control.)
IMU移管 (Transferring IMU control.)
FFCS起動 (Activating FFCS.)
2Bブラックボックス信号確認 (Confirming 2B black box signal.)
NFCS起動 (Activating NFCS.)
2Bバイタル再チェックシーケンス開始 (Initiating 2B vitals recheck sequence.)
近距離電波迷彩開始 (Initiating short-range radio-wave camouflage.)

近距離攻撃装備起動 (Activating short-range attack gear.)

Ho229…
正式名は全領域対応多用途戦術戦闘機 Horten Ho229 Type B(美術記録集 p170)。第二次大戦時にドイツが開発した同名の実在する戦闘機がモデルとなっている。

操縦系放棄…
英訳のFlight-control systemsとある通り、Ho229の操縦系を放棄するという意味だろう。

通常通信システムダウン…
この後のシーンで通信が回復した際に交信した相手が司令部であるため、これは衛星通信における通常通信システムがダウンしたものと推測する。
美術記録集より、Ho229の衛星通信システムはVHFアンテナを用いているようだ。

レーザー通信システム起動…
この後の戦闘シーンでレーザー通信が回復し、ポッド・プログラムをバンカーからダウンロードしている。

地形把握・・・・・・遠距離…
一見して意味がよく分からなかった。
FCSやIMUの移管前であることから、この処理はHo229で実施しているものと推測する。
そこで航空機であるHo229が実施する地形把握というのは、対地接近警報装置のような墜落防止や、侵入した敵地のマップ情報が想定と一致しているか確認する目的で実施しているのではないかと考える。
その場合、地形把握用のセンサが墜落の衝撃で中空を向いて、地上が認識できない(遠距離)という判断をしているのかもしれない。

FCS移管…
FCSの制御対象をHo229からヨルハ機体に移管したものと推測する。

IMU移管…
IMUは慣性計測装置 (Inertial Measurement Unit)を指すものと思われる。
これはセンサから対象の加速度、角速度を検出する装置で、ロボットの姿勢制御に用いる。
この場合、IMUはHo229とヨルハ機体の双方が備えているだろうことから、制御対象をHo229からヨルハ機体に変更した(運動機能をヨルハ機体に移した)という意味だろう。

https://www.marubun.co.jp/product/component/a7ijkd000000h80h.html

慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)は、姿勢制御を必要とする機器に搭載されています。


FFCS起動…
これによりポッドによる射撃が可能となる。
NFCSに先立って起動するのは、遠距離射撃の優先度が近距離攻撃よりも高いためか。

NFCS起動…
ヨルハ機体の近接攻撃が可能となる。
対象機体のブラックボックス信号の確認後に起動する序列となっている。

近距離電波迷彩開始…
詳細不明。
第三者による電波信号の傍受を阻害するものか?

近距離攻撃装備起動
近接武器が起動した状態。臨戦態勢に突入したことを意味する。

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